未完成な好きが、恋に変わるまでそばにいて。

それから十五分ほどの間、彼はひとりで何度も何度もシュート練習をしていた。

しかし、とある一投がリングに弾かれると集中力が切れたのかボールを拾い、Tシャツの首元をパタパタとはたきながら袖で汗を拭っている。

そして近くにあるベンチに置いてあったペットボトルの水を、豪快に喉にごくごく送った。


「ふー」


今日初めて聞いた彼の声は、大きなため息だった。

ベンチにドサッと座り込み、空を見上げてまぶしそうな顔をしている。

もう六時過ぎているとはいえ、七月中旬の今日は太陽が沈むまでもう少しある。


「バッシュ、大きい……」


足が大きいと背が伸びるという話が事実なら、彼はまだまだ身長が伸びそうだ。

海里くんのことをじっと見すぎていたのか、視線を足元から彼の顔に戻すと、ばっちり目が合った。


「あ……」


まずい。二日連続で見ていたことがバレた。
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