新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
「皐月くんのせいじゃないし、もういいよ。指輪は、気づいてなかったんだろうねぇ。というか、まさかたいした見た目でもない私に声かけてくるなんて、びっくり──」
明るい口調で自嘲気味に話していた途中で、不意に左手を掴まれた。
驚いて顔を上げると、皐月くんは険しい表情で私のことを見下ろしている。
「礼は綺麗だし、かわいいよ。自分のことをそんなふうに言うな」
思いがけないセリフに固まった。
言ってしまってから気まずくなったのか、皐月くんはこちらから視線を外すと、自分の首の後ろに片手をやる。
「少なくとも俺は……そう思ってる」
私は今──どんな顔を、しているんだろう。
ドキドキと鼓動が速まる。きっと、記憶の中で皐月くんと手を繋いだあのときと、同じように。
彼が逸らしていた顔をまたこちらに向けたから、目が合った。
一瞬、驚いたようにレンズの奥の瞳を見開いた皐月くんが、ふと、纏う空気を変える。
「……礼」
彼の声でささやかれる自分の名前は、まるで特別な宝物のようだ。
熱の灯った眼差しに射抜かれて体温が上がる。ゆっくり、端整なその顔が近づいてきた。
期待する心のままに、私はそっと、まぶたを下ろす。
明るい口調で自嘲気味に話していた途中で、不意に左手を掴まれた。
驚いて顔を上げると、皐月くんは険しい表情で私のことを見下ろしている。
「礼は綺麗だし、かわいいよ。自分のことをそんなふうに言うな」
思いがけないセリフに固まった。
言ってしまってから気まずくなったのか、皐月くんはこちらから視線を外すと、自分の首の後ろに片手をやる。
「少なくとも俺は……そう思ってる」
私は今──どんな顔を、しているんだろう。
ドキドキと鼓動が速まる。きっと、記憶の中で皐月くんと手を繋いだあのときと、同じように。
彼が逸らしていた顔をまたこちらに向けたから、目が合った。
一瞬、驚いたようにレンズの奥の瞳を見開いた皐月くんが、ふと、纏う空気を変える。
「……礼」
彼の声でささやかれる自分の名前は、まるで特別な宝物のようだ。
熱の灯った眼差しに射抜かれて体温が上がる。ゆっくり、端整なその顔が近づいてきた。
期待する心のままに、私はそっと、まぶたを下ろす。