新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
『あの、ごめんね、わざわざ探しに来てもらっちゃって……みんなのところに、戻ろっか』
未だドキドキしている胸に片手を添えながら、そう言って足を踏み出す。
だけど越智くんの横をすり抜ける間際、突然左腕を掴まれた私は、驚いてまた足を止める。
とっさに見上げた彼は、つい先ほど向けられたものと同じような、やけに静かな眼差しでこちらを見つめていた。
『お……っ越智くん?』
『大丈夫なのか? 宮坂』
『え? 大丈夫って、何が──』
訊ねかけて、ハッとした。
途中で言葉を切った私を、やはり越智くんは真面目な表情でじっと見下ろしている。
ああ、そうだ。この人は、知っているのだ。
今日、一緒にバーベキューをしている同期の中のひとりに──私が、ひそかに恋をしていたこと。
そして、つい1ヶ月ほど前──本人どころか誰にも教えていなかったその恋心を、自分の親友と彼が付き合い始めたという予想外の展開で、派手に散らしたことを。
レンズ越しの越智くんの瞳の奥に私への気遣いを見た気がして、思わずふっと口もとが緩んだ。
『越智くん、優しいね。私は大丈夫だよ』
笑みをみせた私に、彼は少し驚いたようだった。
目を丸くした越智くんへ言葉を返せば、今度は眉を寄せて訝しげな顔をされる。
未だドキドキしている胸に片手を添えながら、そう言って足を踏み出す。
だけど越智くんの横をすり抜ける間際、突然左腕を掴まれた私は、驚いてまた足を止める。
とっさに見上げた彼は、つい先ほど向けられたものと同じような、やけに静かな眼差しでこちらを見つめていた。
『お……っ越智くん?』
『大丈夫なのか? 宮坂』
『え? 大丈夫って、何が──』
訊ねかけて、ハッとした。
途中で言葉を切った私を、やはり越智くんは真面目な表情でじっと見下ろしている。
ああ、そうだ。この人は、知っているのだ。
今日、一緒にバーベキューをしている同期の中のひとりに──私が、ひそかに恋をしていたこと。
そして、つい1ヶ月ほど前──本人どころか誰にも教えていなかったその恋心を、自分の親友と彼が付き合い始めたという予想外の展開で、派手に散らしたことを。
レンズ越しの越智くんの瞳の奥に私への気遣いを見た気がして、思わずふっと口もとが緩んだ。
『越智くん、優しいね。私は大丈夫だよ』
笑みをみせた私に、彼は少し驚いたようだった。
目を丸くした越智くんへ言葉を返せば、今度は眉を寄せて訝しげな顔をされる。