新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
今の自分は、彼の欲しい表情で、態度で、いられているのだろうか。
こちらの答えにどこかホッとしたような様子の皐月くんを見て、私の胸の奥にはモヤモヤした感情が勝手に生まれてしまう。
それを振り払うつもりで、わざと明るい声を出した。
「そうだ。私も、ほのかにまた遊びにおいでって言われてるんだよねぇ。もしほのかと菊池くんの都合が良さそうなら、今日行ってみようかな」
あれからまだ1週間しか経っていないけれど、ほのかとはほぼ毎日メッセージでのやり取りを続け【また会いたいね】という話はしている。
だから、軽い気持ちでそう口にしたのに──私の思いつきを聞いた皐月くんは、なぜかハッと表情を変えてこちらを見た。
「っ礼、ダメだ。菊池たちのところに行くのは、やめておけ」
「え? どうして……」
「ひとりだと……危ないだろ。記憶喪失のこと、誤魔化すのにも」
どこか歯切れ悪く答える彼の様子に、私はさらに疑問を覚える。
「でも私、あのふたりになら、言っちゃってもいいかなって思ってたんだ。だから、それは……」
「礼」
私の名前を呼ぶことで、彼が言葉を遮った。
「また今度、俺がそばにいられるときに会いに行こう。あいつらは礼とかかわりが深かった分一緒にいて何か思い出す可能性も高いだろうし、礼の身体に異変があったりしたら、そばにいられないのは辛い」
まっすぐなその目もセリフも、本来なら胸がときめくようなもののはずなのに。
私の中に生まれたのは、戸惑いの気持ちが大きかった。
こちらの答えにどこかホッとしたような様子の皐月くんを見て、私の胸の奥にはモヤモヤした感情が勝手に生まれてしまう。
それを振り払うつもりで、わざと明るい声を出した。
「そうだ。私も、ほのかにまた遊びにおいでって言われてるんだよねぇ。もしほのかと菊池くんの都合が良さそうなら、今日行ってみようかな」
あれからまだ1週間しか経っていないけれど、ほのかとはほぼ毎日メッセージでのやり取りを続け【また会いたいね】という話はしている。
だから、軽い気持ちでそう口にしたのに──私の思いつきを聞いた皐月くんは、なぜかハッと表情を変えてこちらを見た。
「っ礼、ダメだ。菊池たちのところに行くのは、やめておけ」
「え? どうして……」
「ひとりだと……危ないだろ。記憶喪失のこと、誤魔化すのにも」
どこか歯切れ悪く答える彼の様子に、私はさらに疑問を覚える。
「でも私、あのふたりになら、言っちゃってもいいかなって思ってたんだ。だから、それは……」
「礼」
私の名前を呼ぶことで、彼が言葉を遮った。
「また今度、俺がそばにいられるときに会いに行こう。あいつらは礼とかかわりが深かった分一緒にいて何か思い出す可能性も高いだろうし、礼の身体に異変があったりしたら、そばにいられないのは辛い」
まっすぐなその目もセリフも、本来なら胸がときめくようなもののはずなのに。
私の中に生まれたのは、戸惑いの気持ちが大きかった。