新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
【皐月くんへ

こんなふうにあなたに手紙を書くのは初めてで、少し緊張しています。おかしなところもあるだろうけど、許してね。

私はこれを、直接渡せたのかな。それとも何も言わずにこれだけ家に残して、逃げるようにいなくなった?

実のところ、今この手紙を書いている私はあなたにこれを読んでもらう決心すらついていないので、もしかしたらゴミ箱の中にあったのかもしれないとも思っています。

まず、ごめんなさい。突然「離婚して欲しい」なんて、びっくりしたよね。

お互いの事情が噛み合って、入籍してから1年以上、きっと私たちは上手くやれていたと思います。

皐月くんの隣は居心地が良くて、そこに恋とか愛がなくても、私たちは傍から見れば仲の良い夫婦に映っていたんだと思う。

でもね、私はもう、あなたの“妻”でいることに限界がきてしまいました。

皐月くんは悪くないです。全部、私のせい。

改めて、謝ります。本当にごめんなさい。

私は最初から、皐月くんに嘘をついていました。

この結婚は、愛のない契約結婚。

だけどそれは、あなたから私に向ける気持ちだけの話でした。
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