新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
『そんなことないだろ。宮坂だってふわふわしたドレス似合うよ、絶対』

『えー、そうかなあ』

『宮坂、笑うと顔がくしゃってするだろ。普通にしてるとたしかにクールな雰囲気あるけど、初めて笑ったの見たとき、笑顔でかなり印象変わるなって思ったよ』



そんなふうに言いながら笑いかけられ、ドキリと胸が高鳴った。

あ……危ない。イケメンこわい。越智くん、見た目だけじゃなくて言動もイケメンなんだあ……。



『あ、ありがとう。そう言ってもらえると、うれしいな』



内心の動揺を誤魔化すように横髪を耳にかけ、こちらも笑って返した。

恋愛対象となると、不毛だけど……越智くんとは、今後も同期としていい関係を築いていけそうだなあ。

その後も楽しく会話を続け、気づけば時間いっぱいまで私たちは隣同士に座っていた。

この時点で、彼と私はただの同期。それ以上でも、それ以下でもない関係。

そしてその関係は、これからもずっと、変わらないはずだったのだ。

……『結婚願望がない』。

彼の言葉が、この先の自分を苦しめることになるとは──あの頃の私はまだ、思いもしなかった。
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