新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
「ごめんね、心配かけちゃって……!」
「いや……俺の早とちりだ。こっちこそ悪い」
答えながら、皐月くんはホッとした笑みを浮かべる。
「礼に何かあったわけじゃないなら、よかった」
その微笑みと優しい声音に、きゅーっと胸が締めつけられた。
ベンチ上の隣に置いた日記帳に1度触れ、そのこぶしをきつく握る。
……皐月くんが、好き。
だけど、この気持ちは彼にとって重荷にしかならない。
だからもう、終わらせよう。この、いびつな関係を。
「本当に、ごめんなさい。……帰ろっか」
「ああ」
答えながら立ち上がった彼が、左手を差し出す。
手のひらを重ねてベンチから腰を上げた私は、少しの間その体温を自分の心に刻みつけてから、するりと手を離した。
「ありがとう。あ、どうしよう、まだごはん準備してなかったんだ」
「いいよ。何か買って帰るか」
申し訳なくつぶやくと、彼はあっさりと返してくれる。
その言葉にうなずいて、私は月の見えない夕闇の空を見上げた。
「……うん、ありがと。あのね、皐月くん」
「ん?」
名前を呼ぶと、当たり前に返事をしてくれる。
きっともうすぐ、こんなふうに名前を呼ぶこともなくなるんだと思ったら、今すぐここで泣いてしまいたくなった。
「帰ったら、ごはん食べて、そしたら──……」
だけど、それは今じゃない。
私は大好きな人に、精一杯笑ってみせた。
「……大事な話が、あるんだ」
「いや……俺の早とちりだ。こっちこそ悪い」
答えながら、皐月くんはホッとした笑みを浮かべる。
「礼に何かあったわけじゃないなら、よかった」
その微笑みと優しい声音に、きゅーっと胸が締めつけられた。
ベンチ上の隣に置いた日記帳に1度触れ、そのこぶしをきつく握る。
……皐月くんが、好き。
だけど、この気持ちは彼にとって重荷にしかならない。
だからもう、終わらせよう。この、いびつな関係を。
「本当に、ごめんなさい。……帰ろっか」
「ああ」
答えながら立ち上がった彼が、左手を差し出す。
手のひらを重ねてベンチから腰を上げた私は、少しの間その体温を自分の心に刻みつけてから、するりと手を離した。
「ありがとう。あ、どうしよう、まだごはん準備してなかったんだ」
「いいよ。何か買って帰るか」
申し訳なくつぶやくと、彼はあっさりと返してくれる。
その言葉にうなずいて、私は月の見えない夕闇の空を見上げた。
「……うん、ありがと。あのね、皐月くん」
「ん?」
名前を呼ぶと、当たり前に返事をしてくれる。
きっともうすぐ、こんなふうに名前を呼ぶこともなくなるんだと思ったら、今すぐここで泣いてしまいたくなった。
「帰ったら、ごはん食べて、そしたら──……」
だけど、それは今じゃない。
私は大好きな人に、精一杯笑ってみせた。
「……大事な話が、あるんだ」