新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
「あとは、読んでもらった手紙の通り。ずっと、騙していてごめんなさい。……私と、離婚、してください」
床に座ったまま、今度は深く頭を下げる。
うつむきながら、固く目を閉じてこみ上げる涙を堪えた。
私が、ここで泣くのはズルい。私に泣く権利なんてない。
だから必死に、堪え続けた。
「……どうして、そうなるんだよ」
低い、先ほどと同じような言葉が耳に届いて、思わずビクリと肩を揺らした。
驚いたのは、思いのほか近くで声が聞こえたからだ。
ハッと顔を上げた私は、いつの間にかソファを下りていた皐月くんがすぐ目の前にいたことに気づいて、息を呑む。
彼は私と同じように床に片膝をつき、どこか怒りを感じる瞳でこちらを見据えていた。
「皐月く……」
「離婚なんてする必要ない。おまえは俺のものだ。他の誰にもやらない」
レンズ越しの強い眼差しに捕らわれたまま、徐々に縮まる距離に、無意識で後ずさっていた。
けれども私のそんな動きは、床についた両手に彼の手が被せられたことによって、あっさりと封じられてしまう。
「さ──」
名前を呼ぼうとして、できなかった。
自分の唇が、大好きな人のそれによって、塞がれていたからだ。
床に座ったまま、今度は深く頭を下げる。
うつむきながら、固く目を閉じてこみ上げる涙を堪えた。
私が、ここで泣くのはズルい。私に泣く権利なんてない。
だから必死に、堪え続けた。
「……どうして、そうなるんだよ」
低い、先ほどと同じような言葉が耳に届いて、思わずビクリと肩を揺らした。
驚いたのは、思いのほか近くで声が聞こえたからだ。
ハッと顔を上げた私は、いつの間にかソファを下りていた皐月くんがすぐ目の前にいたことに気づいて、息を呑む。
彼は私と同じように床に片膝をつき、どこか怒りを感じる瞳でこちらを見据えていた。
「皐月く……」
「離婚なんてする必要ない。おまえは俺のものだ。他の誰にもやらない」
レンズ越しの強い眼差しに捕らわれたまま、徐々に縮まる距離に、無意識で後ずさっていた。
けれども私のそんな動きは、床についた両手に彼の手が被せられたことによって、あっさりと封じられてしまう。
「さ──」
名前を呼ぼうとして、できなかった。
自分の唇が、大好きな人のそれによって、塞がれていたからだ。