新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
今度は、ただ触れるだけじゃない深いキス。何度も角度を変えながら食まれて、そのうち、濡れた舌が催促するように私の唇の合わせ目をなぞった。

ゾクリと背筋に電流が走り、思わず力が抜ける。

気づけば、彼の舌を口内に招き入れていた。



「っん、さ、つきく……っあ」



息もできないほど貪られながら、必死に名前を呼ぶ。

鼻から抜ける甘い声が、自分のものではないみたい。いつの間にか私は、床に背中をつけて押し倒されていた。

一瞬唇が離れたその隙間で、ふっと彼が吐息混じりに笑う。



「礼の声、やらしくてたまらない。もっと聞かせてくれ」



ペロリと自らの唇を舐めて妖艶な笑みをたたえた皐月くんに心臓を撃ち抜かれ、真っ赤になって固まる。

こちらが言葉を失っているのをいいことに、彼はまた、いとも簡単に私の唇に噛みついた。

苦しい。溺れちゃいそう。でも、気持ちよくてふわふわする。

与えられるだけじゃなく、自分からも彼のキスに応えながらその首もとに腕を絡め、もっともっとと強請った。



「……礼。俺はもう、本気で止められないから……まだ聞きたいことや伝えておきたいことがあれば、今のうちだ」



唇をほとんど私の耳にくっつけるようにし、皐月くんが熱っぽく掠れた声でささやく。

ん、とその刺激につい身動ぎつつ、私は濡れた瞳で彼を横目に見た。
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