新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
衝撃の告白に、私は驚いて焦る。



「そんなの、忘れてよー!」

「無理だな。記憶喪失になる前からだけど、こんなにかわいい礼とひとつ屋根の下で生活してて、我ながらギリギリの理性保ってよくやったよ。花火大会の日に礼が身体を許してくれたとき、身を切る思いで拒んだ俺を褒めて欲しい」



ミルクセーキをひとくち飲んだ皐月くんが、ニヤリと意地悪く口の端を上げて言った。

赤い顔の私は恨みがましくそんな彼を睨み、唇を尖らせてソファに載せた両足を抱え込む。



「……むしろ、あのときすごくショックを受けた私を、慰めて欲しいです」

「うん、ごめん。正直あのまま抱いて俺のものにしたかったけど、礼の記憶が戻ったときのことを考えたら、やっぱり手を出すべきじゃないと思ったんだよ」



素直に謝罪を口にしながら、優しい目をした皐月くんが私の頭を撫でた。

本当のところ、彼に本気で謝ってもらおうと思っていたわけじゃない。
こんなに真摯な対応を受け、逆に私は申し訳なく眉尻を下げた。



「……ううん、私こそ、ごめんね。受け入れてもらったとしても、きっと幸せになれたのは、あの瞬間だけだったと思うから……皐月くんがああ言ってくれて、よかった。ありがとう」



心からの気持ちを伝え、ふわりと笑う。

一瞬驚いたように目を丸くしたあと、皐月くんは苦笑いを浮かべた。

それから、ずい、とあからさまに、私の方へと身体を寄せてくる。
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