新妻ですが、離婚を所望いたします~御曹司との甘くて淫らな新婚生活~
室内には私ひとりしかいない。
混乱したままだけど、とりあえず枕元にあるナースコールを押そうと手を伸ばしかけた。
不意にそのとき、出入口のドアが開く。
ビクッと反射的に肩がはねてそちらへ目を向けると、入ってすぐのところに引かれたカーテン越しに背の高い影が見えた。
そうして薄桃色のその布をスライドさせながら姿を現した人物が、ベッド上で上半身を起こす私を見て動きを止める。
やってきたのは、まだ年若い──二十代後半から三十代前半ほどの男性だった。
黒い短髪に、端整な顔立ち。カーテン越しの影でもわかった通り、すらりと背が高い。
メガネのレンズ越しに見開かれた瞳と視線が交わった。その顔には、見覚えがある。
現れたのが見知った人物だったことに驚きながら、だけど相手の雰囲気にどこか少しの違和感も覚えて。
「えっと……ッ?!」
戸惑いつつこちらが口を開くとほぼ同時に、彼が動く。
まず、彼の持っていた紙袋がその手から滑り落ちて、ガチャンとなかなかに盛大な音が鳴った。
それから次の瞬間、身体に衝撃が走る。
なぜだか私は、その人物の腕の中にすっぽりと抱きすくめられていた。
知らない匂いと体温に包まれ、目をみはる。
混乱したままだけど、とりあえず枕元にあるナースコールを押そうと手を伸ばしかけた。
不意にそのとき、出入口のドアが開く。
ビクッと反射的に肩がはねてそちらへ目を向けると、入ってすぐのところに引かれたカーテン越しに背の高い影が見えた。
そうして薄桃色のその布をスライドさせながら姿を現した人物が、ベッド上で上半身を起こす私を見て動きを止める。
やってきたのは、まだ年若い──二十代後半から三十代前半ほどの男性だった。
黒い短髪に、端整な顔立ち。カーテン越しの影でもわかった通り、すらりと背が高い。
メガネのレンズ越しに見開かれた瞳と視線が交わった。その顔には、見覚えがある。
現れたのが見知った人物だったことに驚きながら、だけど相手の雰囲気にどこか少しの違和感も覚えて。
「えっと……ッ?!」
戸惑いつつこちらが口を開くとほぼ同時に、彼が動く。
まず、彼の持っていた紙袋がその手から滑り落ちて、ガチャンとなかなかに盛大な音が鳴った。
それから次の瞬間、身体に衝撃が走る。
なぜだか私は、その人物の腕の中にすっぽりと抱きすくめられていた。
知らない匂いと体温に包まれ、目をみはる。