*続*あまい・甘い・あま~い香りに誘われて
「葵さんと結婚させてください」

虎太朗が私の両親に正座して頭を深々と下げたのは、虎太朗はK大医学部、私はS女子大栄養課に進学も決まり、卒業と進学祝いを兼ねて両家で食事会をしていた3月も半ばのことだった。

「…っ!」

飲んでいたアイスコーヒーを危うく吹き出しかけてあわててゴクリとどうにか飲み込んだ。

両親は思ってもいない虎太朗の突然の発言に目をぱちくりさせていた。
いや、両親だけではない。
私も同様だ。

だって、私!
プロポーズされた記憶ございませんが!?

バシッ!!!

頭を下げる虎太朗の頭を虎太朗のお父さんが思いきりはたき、虎太朗はそのまま畳におでこをぶつけた。

「痛ってー!!
何すんだよ親父!」

顔を上げた虎太朗が頭をさすりながら隣の父親を睨み付ける。
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