【社内公認】疑似夫婦-私たち(今のところはまだ)やましくありません!-
2.アイデアマンの〝嫁〟に任命されました
私と二人でプロトタイプベッドの使用感を試した翌週の月曜日、ベッドに「オプション機能をもう一つ足したい」と言い出した森場くん。
〝パートナーを抱きしめたまま眠ってしまった時にも最適な構造に変化する仕様にできませんかね?〟
朝一に彼が撃ち込んできた提案に、〝LUXA〟チーム一同は戦慄し、〝完成目前〟だと思っていた斧田さんは泡を吹いた。
「今の段階でそういった仕様変更ってできるんですか……?」
事態の重さをいまいち測りきれなかった私は、隣の湯川さんに小声で尋ねた。早くも森場くんの提案についてその場にいた数名が議論を白熱させているなか、湯川さんも小声で返してくれる。
「オプションだし、基盤をいじるわけではないんだろうけど……できるかできないかって言うより、〝やる〟って感じね。死ぬのは主に斧田さん。まあでも……社長の肝煎り企画で〝森場の好きなようにやらせろ〟ってことになってるし、却下はできないだろうなぁ」
「なるほど……」
湯川さんの説明通りだった。なかなか首を縦に振らなかった斧田さんだけど、最終的には森場くんの説得に折れる形で〝LUXA〟の新機能追加が決定した。
機能が増えれば、広告で謳えることも変わる。プロモーションのアイデアの幅も広がる。反対に、〝何を前面に押し出していくか〟が重要になってくる。斧田さんのみに限らず、チーム一同てんやわんやになった。