【社内公認】疑似夫婦-私たち(今のところはまだ)やましくありません!-
 私は自分の言葉が無責任に聞こえないように、精一杯言葉を尽くす。

「もっ……もちろん! 遅れることで膨らむ業務は私もお手伝いします! 私にできることならなんだってします……!」

 再び沈黙。私の宣言を加味して再び脳内電卓が叩かれる。

(……大口を叩いてしまった!)

〝私にできることならなんでもする〟とは言ったが、最近プロジェクトに入ったばかりの私に何ができるというのか。自分にこんな大口を叩く権利はなかったのではないか。

 鳩尾のあたりがキリキリして仕方がない。黙って審判を待つ。隣の森場くんの顔を見ると、彼は驚ききょとんとした顔で私のことを見ていた。

 そして沈黙の中、湯川さんが口を開く。

「……そうね。まだ追加があるかもしれないのに開発を動かすのは不毛だし、待つ期間としても〝二週間〟は妥当かもね」

 それに反応して斧田さんも。

「そうだな……こっちとしても、同時並行で動くよりはそのほうが有難いな。森場。二週間でいけるか?」

「はい!」

 彼は意気揚々と返事をしていたが、私は〝ほんとに二週間でよかったんだろうか〟と不安になった。私が勝手に例で挙げてしまった期限に決まってしまったけど……。

 隣の彼に小声で「勝手なことを言ってごめん」と謝ると、森場くんは顔をくしゃっと笑わせて「なんで? 吉澤さん最高」と褒めてくれた。
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