可愛がりたい、溺愛したい。



「涼介の家にいた。
わざと帰り遅くして帆乃がどんな反応してくれるか試したくて」


言葉に迷いがないことから、嘘を言っているとは思えない。



「試すなんてひどいよ」


「だって僕ばっかりが妬かされてるから」



「依生くんのバカ……」


「怒った?試すような真似して」


「怒ったよ、もう依生くんなんて嫌い……っ」


ホントは嘘。


ただ、嫌いって言ったらどんな反応してくれるかを見たかっただけ。


試すようなことされたお返し。


一瞬、優位に立てたかと思ったのに。




「……嫌いなんて言わないで」


甘えた声で、少しさびしそうな顔をしたかと思えば。



「もし次言ったら……その可愛い唇塞ぐよ?苦しがっても息できなくてもやめてあげないから」


狂ったようなことを平気で言ってくるから、ペースについていけない。

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