可愛がりたい、溺愛したい。



1ヶ月はあっという間。


予定だと夏休みに入ってから数日したらお母さんはこちらに帰ってくる。


お父さんのケガの回復も順調みたいだから。



毎日こうして一緒にいる時間はもうすぐ終わってしまう。


1ヶ月、依生くんと2人っきりの時間をたくさん過ごせたのに、わたしたちの関係は何も進展しない。


たった1ヶ月で進展を求めちゃいけないって頭ではわかっているけれど、もし何か起これば……なんて考えてる欲張りな自分。



「帆乃は昔から雷と暗いところ苦手でしょ?」


「……依生くんがそばにいてくれたら平気だよ」



雷とか暗いところが苦手。

得意と言えるわけじゃないけど、おびえるほどじゃない。


ただ、こうやってこわがれば依生くんに抱きしめてもらうことは不自然じゃないし、


多少甘えたことを言っても許されるって、ずる賢くて計算高いわたしの考え。

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