可愛がりたい、溺愛したい。



「可愛いこと言うね。
じゃあ帆乃がさびしくないよーにそばにいてあげる」


これが恋人同士のやり取りだったら何もこんな複雑な気持ちになることはないのになぁ…と思いながらお皿についた泡を水で流す。



「帆乃?」


「…………」



というか、こんなふうに身体を簡単に密着させることを許してしまうわたしもダメか…。


全然幼なじみっぽくない。


って、わたしは依生くんに対して何を求めているんだろう。


幼なじみらしさ?

それとも恋人としての関係?



「へー、僕と一緒にいるのに上の空なの?」


「……へ、うわっ!!」



急に依生くんの手がわたしの服の中にするりと入り込んできて。



「さっきから名前呼んでるのに無視するなんて。
僕のほうに意識が向くようにイタズラしてもいーの?」


お腹のあたりを直接スーッと触って、耳元でわざと小声でささやいてくる。

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