可愛がりたい、溺愛したい。



「なんで?
昔はよく一緒に入ってたじゃん」


今と昔を一緒にしないでって言おうとしたけど、言えなかった。


だって、昔も今も依生くんにとってわたしは、幼なじみから止まったままだと言われているみたいだから。


わたしだけが、変に意識してるだけって思うと、その差が虚しく感じた。


……前にも同じような思いをしたのをふと思い出した。



「帆乃?」


「……あ、洗い物あとに回すから、
雷ひどくならないうちに先に入るね」


隙をついて逃げるようにリビングを飛び出した。


……不自然さ全開。


何か感じ取られたかもしれないけど仕方ない。


あの場で逃げる以外の選択肢はなかったから。


さっきまでの出来事を早く忘れるように、部屋に着替えを取りに行ってお風呂に向かった。

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