可愛がりたい、溺愛したい。
ぶつけた衝撃で頭がクラクラして、お風呂に長い間浸かっていたせいもあってか、意識がぼんやりしてくる。
「……ほ……の」
あぁ、なんだか依生くんの声がどんどん遠ざかっていくような気がする。
そのまま、グダッと力が抜けて意識を手放した。
***
次に目を覚ました時は、まだ暗闇の中で。
「ん……」
閉じていたまぶたをゆっくり開けると、いま自分の身体がソファかベッドに横になっているのがわかる。
明かりはまだ復旧していない。
まだ頭がズキズキ痛むことから、倒れてからそんなに時間は経っていないと思った。
「……帆乃?目覚めた?」
暗闇の中で、横になるわたしのすぐ隣から依生くんの声がした。
「あ……う、うん」
「急に倒れるし、頭ぶつけるし意識失うから心配した」
さっきまでの出来事がバーッと頭の中を駆け巡り出して、恥ずかしすぎて穴があったら入りたい。
さいわい、今は暗いことだけが救い。