可愛がりたい、溺愛したい。



「頭痛くない?
いちおう冷やすやつ頭に当ててるけど」


「少し痛いけど大丈夫……かな」


……そういえば、わたしどうやってお風呂場からここまで来たんだろう…?


おそらく今わたしがいるのはリビング。


お風呂場で気を失ったから、まさか自分で歩いてきたわけがない。


と、ということは……。



「あの、依生くん……?」


「なに?」


「わたしが倒れてから……ここまで運んでくれたのって……」


「僕だけど」



ですよね……ですよね。


うわぁぁぁ、最悪…最悪……っ!


今さら無駄な抵抗として身体を縮こまらせて、両腕を胸の前でクロスする。



って、ちょっとまって……。


わたしなにも身につけていない状態で倒れて……


それで今はどうなってるんだ……!?


バッと自分の身体に目線を向けた瞬間、
タイミングよく部屋の明かりがパッとついた。

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