可愛がりたい、溺愛したい。
「よし、できたっ」
鏡に映る自分はどこからどう見ても凡人。
というか凡人以下の、地味って言葉がよく似合う。
せっかくの可愛い制服も規定通りに着ると可愛さが半減する。
だけどこれでいいんだ。
地味な格好をしていれば、学校生活が平和に過ごせるから。
全ての準備を終えて、依生くんがいるリビングへ戻る。
「支度できたよ、遅くてなってごめんね」
扉から中をひょこっと覗き込むと、依生くんがすぐにわたしに気づいて、そばに寄ってくる。
そして、わたしをジーっと見ながら。
「……んー、やっぱ地味な格好しても可愛さ隠し切れてない」
「……?」
「まあ、仕方ないね。素のままの帆乃を見たら男たちみんな惚れちゃうだろうから。それくらいで許してあげる」
若干、不満そうな依生くん。