可愛がりたい、溺愛したい。
いちおう人様のお家にお邪魔するってことで、お菓子を持ってきたのでそれを花野井くんに渡す。
「なんだか気使わせちゃったね」
「ううん、そんなことないよ!」
わたしが笑顔で言うと、花野井くんの目線は隣にいる依生くんのほうへ向いて。
「んで、お前は久しぶりに会っても相変わらず仏頂面してんのな」
「……そりゃーね。
帆乃と2人の時間取られたよーなもんだから」
「どうせ毎日一緒にいるんだから、
たまにはこういうのもいいだろ?」
「よくない。
涼介と、あのうるさいひっつき虫に会えても嬉しくないし」
「お前なぁ」
花野井くんはだいぶ呆れた様子。
こんなことしていたら先に進まないので、とりあえず中に入れてもらおう。
「ほ、ほら早く中入ろう!
明日香ちゃんはもう来てるのかな?」
「うん、もう俺の部屋にいるよ」
「そ、そっか。
じゃあお邪魔します」