可愛がりたい、溺愛したい。



すると依生くんの目線がわたしの顔から少し下に落ちて。



「あー、またリボン結びできてない」


そう言いながら、わたしの制服の赤いリボンをシュルッとほどく。



「帆乃がやるといつも縦結びになっちゃうね」


「う、うまくできなくて」



「いーよ、僕がやってあげるから」



何もできない幼なじみ。


毎朝起きることができないのも、

ドジをしてしまうのも、

リボン結びがうまくできないのも、



ぜんぶフリだって知ったら依生くんは怒るかな。



少し顔を上げてみれば、依生くんは怒った様子なんか見せずにわたしのリボンを丁寧に結んでくれている。




「できたよ」


「い、いつもごめんね」


「ん、いーよ。
何かできないことあったらぜんぶ僕がやってあげるから」


優しくて、とことん甘やかしてくれて。

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