可愛がりたい、溺愛したい。
小悪魔くんのいいなり。
夏休みが明けた9月。
夏休み明けにあった課題考査をなんとか乗り越えて、ようやく落ち着いたころ。
平和に過ごしていたわたしに事件が起こる。
それは依生くんが体調を崩して、学校を休んでいた放課後のこと。
1人で帰る準備をして、教室を出ようとしたところで。
「えっと、このクラスに芦名帆乃さんっているかしら?」
わたしの名前を呼ぶ1人の先生の姿が廊下のほうにあった。
たしか……1年の担任を持ってる宇佐美先生かな。
顔と名前を知ってるくらいの先生で、授業を持ってもらったことはないし。
特に関わりがないのに、なんでわたしを探しているんだろう?
「あの、わたしが芦名帆乃ですけど……」
声をかけてみると、「あっ、あなたが〜!よかったわ、見つかって」と、ホッとした様子を見せていた。
「いきなり呼び出しちゃってごめんなさいね?
ちょっと芦名さんにお願いがあって」
「お願い……ですか?」