可愛がりたい、溺愛したい。
そんな様子に宇佐美先生は頭を抱えたまま、はぁとため息をついて。
「芦名さん、いきなりで悪いんだけどね。これから2週間、放課後だけでいいから桜庭くんの勉強を見てあげてほしいの」
「え……?
いや、えっと頼む相手間違ってないですか…?」
わたしが成績いいなら頼まれてもおかしくないけど……。
いつも平均点より下ばっかりだし。
なんで成績下位組のわたしなの??
「それがね、桜庭くんが芦名さんじゃないといやだって聞かないのよ」
「えぇ、なんですかそれ」
「桜庭くんは1学期は中間も期末も学年でトップの成績でね。
それなのに、夏休み明けの課題考査がボロボロで。ほとんどの教科を白紙で提出したの」
な、なぜにそんなことを…!?
というか、桜庭くんってそんなすごい子だったのか。
「訳を聞いてみたら、どうやら芦名さんが関係してるみたいでね」
「わ、わたしですか!?」