可愛がりたい、溺愛したい。



「じゃあ、そういうわけでよろしくね芦名さん!桜庭くんのご指名だから期待してるからね〜!」


「ちょ、ちょっと…!!」


半ば強引に押しつけられるかたちで、宇佐美先生は嵐のように教室から去って行ってしまった。



う、うそでしょ。
引き受けてもいないのに、完全に流された。


今はもう誰もいない教室で葉月くんと2人。


思いっきり、ぎろっとにらんでみると、悪気もなくニコニコしながら。



「せっかくの可愛い顔が台無しだよー?」


そう言いながら、簡単にわたしのメガネをスッと奪い取った。



「わっ、返してよ…!」


背伸びをして取り返そうとするけど、身長差が結構あって届きそうにない。


「やーだよ。
久しぶりに先輩の可愛い顔見せて」


グイッと一気に顔を近づけてくる。



「ち、近い…!」


本当なら関わりたくないのに、簡単に葉月くんのペースにうまく乗せられてしまう。

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