可愛がりたい、溺愛したい。
トゲのある言葉が胸に刺さる。
言い返してやりたいけど全てが事実で、返す言葉もない。
"ただの幼なじみ"なんて、他人に言われなくたって自分がいちばんわかってるはずなのに。
「困ってる後輩を助けると思ってさ?
引き受けてよ。そんな重い気持ちで受けずに」
余裕のある笑みは、自分の有利さを表しているような気がした。
「まあ、さすがに2人っきりでいるところを見られるのはまずいから、その辺は配慮してあげるよ」
そう言われて連れていかれたのは人通りが全くない、旧校舎の狭い一室。
小さな窓に、少し大きめのテーブルに、その近くに古びたソファがあるだけ。
「ここ、俺の秘密基地。
よく授業サボったりするときに使ってんの。
ここだったらバレないよ?2人でいても」
「用意周到すぎるよ」
「そりゃもちろん」
可愛い顔してやることは
えげつない。だって脅してるわけだし。