可愛がりたい、溺愛したい。
葉月くんの危険な罠。
「……は?
何バイトって。僕聞いてないんだけど」
不満そうに眉をひそめて、疑いの目を思いっきり向けてくる依生くん。
今日の放課後から葉月くんに勉強を教える……というか、やる気を取り戻させなくてはいけないため、バイトを始めると嘘をついた。
「きゅ、急に決まったの。人手不足みたいで…」
「どこでなんのバイトすんの?」
「えっと、駅前のカフェで…」
「それって接客?」
「う、ううん。接客じゃなくて裏でのお手伝い…的な」
カフェでバイトなんてしたことないから、どんな仕事かわからなさすぎてごまかすので精いっぱい。
「ふーん、お手伝いね」
かなり怪しんでいるので、嘘だとバレないよう必死に表情を作る。
「それって何時に終わるの?毎日シフト入ってんの?期間いつまで?」
怒涛の質問攻めにもひるまずに答えなくては…。