可愛がりたい、溺愛したい。
「それは?」
「……は、葉月くんには関係ないでしょ」
「そうやって逃げるんだね」
なんとでも言ってくれればいい。
それに本当のことじゃんか。葉月くんがわたしと依生くんの関係に首を突っ込んでくるのは違うから。
「そんな曖昧な関係いつまでも続くと思ってないほうがいいよ?」
空を見上げて、軽くフッと笑いながら。
「ぜんぶ、
俺が……あげるから」
少しだけ聞き取れなかった箇所があった。
だけど聞き返す気にはなれなかった。
だって、今だけ声色がいつもと違ったから。
低く、冷たく、少し狂気的なものを感じてゾクッと背筋が震えた。
その時、カバンの中に入っているスマホが短く音を鳴らした。
この会話から逃げるにはもってこいのタイミングの良さ。
すぐにスマホを手にすると、ある人からのメッセージが届いていて。
「あー、もしかして三崎先輩とか?」