可愛がりたい、溺愛したい。
「ねー、帆乃先輩」
急に手を止めて、わたしのほうに身体を向けてきた。
「な、なに?」
とっさに、自分の中で何か危険なものを感じ取ったので距離をあけるために、身体を少し後ろに下げる。
そんなわたしの様子を見て、葉月くんは身体をわたしのほうへ乗り出してきて。
ソファについていた片方の手の上に、手を重ねてきた。
目を合わせると、いつもの雰囲気はない。
「……帆乃先輩と俺が付き合う可能性は?」
突然なにを聞いてくるのかと思えば。
そんなの聞かなくたってわかるでしょ。
わたしの気持ちが依生くんにあることを知ってるのに。
だから。
「……ゼロ」
正直に答えてしまった。
「ふーん」
自分から聞いてきたくせに、興味がなさそうな返事の仕方。
かと思えば。
「……じゃあ、」
重なった状態の手に少しだけ力がこもって。
「……帆乃先輩と三崎先輩が付き合う可能性は?」