可愛がりたい、溺愛したい。
突然の質問に固まることしかできない。
答えは今の段階では、同じくゼロに決まってる。
答えを聞かなくたってわかっているくせに。
「……それもゼロ、だよ」
少なくとも、このゼロから上がってプラスになることは、ほぼないはずだから。
すると、わたしの答えを聞くと、片方の口角を少しだけあげて笑う顔が見えた。
そして。
「……じゃあ」
その瞬間、肩を軽くトンッと押されて、油断していたせいで身体は後ろに倒れた。
「……そのゼロをマイナスにしたらどーする?」
意味がわからず、固まっていると。
「もちろん、マイナスにするのは三崎先輩と付き合うって可能性のほうだよ?
ゼロとマイナスなら、ゼロのほうが上ってことくらいは先輩でもわかるよね?」
淡々と話す口調と笑みに、身体が震える。