可愛がりたい、溺愛したい。
幼なじみ超えてキス。



あれから、依生くんは何も言わずわたしを連れ出した。


乱れた制服を直すひまもなく、ただ無言で腕を引かれて学校を出た。



しばらく歩いて、連れてこられたのは人通りがない路地裏。


荒く、雑に身体を壁に押し付けられて、逃げ場はどこにもない。


そして、依生くんが壁に軽く手をついて、耳元に顔を近づけてきながら。




「……なんで嘘ついたの」



今にも消えてしまいそうな、儚げな声に驚いた。


嘘をついたこと、葉月くんとあまり関わらない約束を守らなかったことへの怒りがぶつけられると思ったから。



ただ、怒りよりも先に、わたしが嘘をついてまで葉月くんと2人っきりでいたという事実に悲しんでいるようにも見える。



「ご、ごめんなさ……」


震える声で謝ろうとするけど、わたしの声なんて今の依生くんには聞こえていなくて。

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