可愛がりたい、溺愛したい。



一瞬、思考が停止する。

こんなにもあっさり告げられるなんて。


しょせん、わたしの存在なんて依生くんにとっては、その程度のものだったと証明されたみたいで。


胸の音がドクッと大きく嫌な音を立てる。



「やめたら僕はもう帆乃のそばにいない。
いる必要がないから」


それはつまり……今までそばにいたのは幼なじみだから……という現実を突きつけられた。



やだよ……。
依生くんがわたしのそばから離れるなんて、考えたくもない。


なのに……。



「……い、いいよ……やめる」


強がって、胸の中で思うこととは正反対のことを口にしてしまう。


これ以上はダメだって言いきかそうとするのに。



「依生くんがいなくったって……平気だもん」


ここで感情的になったって損しかしないのに。


昔からの悪いくせ。一時的に感情が暴走して、冷静じゃいられなくなってしまう。

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