可愛がりたい、溺愛したい。
「ふーん。いーよ、じゃあやめよーか。
僕も帆乃がいなくったってかまってくれる女の子は山ほどいるから」
「っ……」
「そっちは葉月クンと仲良くしてれば?」
「そんなこと……言われなくたってそうするから……っ」
意地を張らずに、依生くんじゃないとダメだって言えたらいいのに。
「僕がいないとダメなくせに、何もできないくせに」
その言葉が悔しくて、さらに感情を高ぶらせる。
「何もできない……なんて思わないで。
本当はぜんぶフリなんだから……」
あぁ……もう。
こんなこと言ってもいいことない。
自分から突き放してどうするの……。
「ふーん。
べつにフリだろうがどーでもいいけどさ」
今にも泣きそうになる顔を伏せると、顎に指先が軽く触れて、クイッとあげられた。
「強気で言ってくるくせに、
なんで泣きそーな顔してんの?」
「そ、そんな顔してない……から」