可愛がりたい、溺愛したい。



苦しさから逃れるために、とっさに依生くんの制服のシャツをギュッとつかむけど。


「……苦しい?
けどやめてあげないよ」


シャツをつかんだはずなのに、指を絡められて甘さで感覚がおかしくなってくる。



「……おね…がい……っ、やめて……」


うまく力が入らないし、唇は塞がれたままで喋ることもできない。



「……手加減しないって言ったじゃん。
僕はそこまで優しくないから」


フッと余裕そうに笑いながら、ぜったい離してくれない。


こんなのおかしいのに……。

気持ちの通じてないキスなんて、しても虚しいだけなのに。


甘いキスに身体が逆らえなくて、心臓がバカみたいにドキドキうるさいのが悔しい。



「苦しかったら口開けなよ」


酸素が足りないせいで、頭がボーッとして判断が鈍ったせいで言われるがまま。



「……いい子。
たまんないね、止まんなくなる」

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