可愛がりたい、溺愛したい。
息を乱しながら、必死に酸素を取り込む。
それに比べて依生くんは息を切らすことはなく、真上からわたしを余裕そうに見下ろしている。
「……なんで、キスなんか……っ」
こんなキスされたくなかったという意味を込めて、手で唇をこする。
だけど、感触がまったく消えない。
「……したくなったからしただけ」
「自分勝手……すぎるよ……っ。
わたしの気持ち何も知らないくせに……っ」
「知らないよ。
けど、もうどーでもいいから。
したくなったら他の子にするし」
いつだってわたしが優位に立てることはない。
追い込まれてるわたしの必死の強がりなんて、依生くんにとっては痛くもかゆくもないんだ。
「依生くんなんてきらい……だいっきらい……っ」
いっそのこと、こんな気持ちぜんぶなくなればいいのに……。