可愛がりたい、溺愛したい。



***


「帆乃先輩、おはよ」


「…………」


「うわー、そんな怖い顔しないで。ね?」


苦しい満員電車から解放されて、ようやく下駄箱について靴を履き替えているところにやってきた、今とても会いたくない



……葉月くん。


よくそんな何事もなかったかのように接することができるもんだ…。


悪いことしたって自覚ないのかな…。



「先輩ってば、あの日からずっと俺のこと避けるから。だから朝ここで待ってれば顔見れるかなって」


相変わらずにこにこ笑いながら、わたしの気持ちなんて平気で無視して話しかけてくる。



「そういえば、三崎先輩いないね。
俺の思惑どおり2人の関係崩れちゃった?」



かなり苛立ったけど、ここで言い返したらますます葉月くんの思い通りになるみたいなのが嫌で。


無視してそのまま横をすり抜けようとすれば。



「無視しないで。怒ってる?」


すれ違いざまに腕をつかまれて動きを制御される。

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