可愛がりたい、溺愛したい。
「怒ってる……よ」
「俺は幼なじみの2人に事実を言っただけなのに?」
いちいち正論を言ってくるから、それが事実であることが無性に悔しくて、つかまれた腕の拳をグッと握る。
「言ったでしょ。
俺は帆乃先輩を手に入れるためなら手段選ばないって」
「だ、だからって……何もあそこまでしなくてもよかったでしょ…」
わざと2人っきりでいるところを見せつけるなんて……。
「でもさー、俺がちょっと揺さぶっただけでこんな簡単に崩れるんだから、しょせんその程度のカンケーだったんじゃないの?」
すると葉月くんが何かに気づいて、そちらに目線を向けた。
ジッと目をそらさずに一点を見ているから、視線の先に何があるのかと思い後ろを振り返った。
少し遠目だけど、誰かなんてすぐわかる。
どんどんこちらへと近づいてくる姿を見て、心臓がドクドク嫌な音を立てる。
そして何も言わず、こちらも見ず、横をすり抜けていった
……依生くん。