可愛がりたい、溺愛したい。
「俺も先輩と同じクラスがよかったなあ。
席とか隣になりたいなー」
教室に着くと、興味があるのか中を覗き込んでいる。無視してそのまま席に着こうとしたけど。
「えー、先輩もういっちゃうの?」
カバンをグイッと引っ張られて、中に入れない。
「もうすぐホームルーム始まる…から」
正直早く離れてほしいし、自分の席につきたい。
葉月くんは気づいているの知らないけど、地味にクラスの人たちの視線がこちらに集まっている。
特に女の子たち。
こうやって目立つのはあまり好きじゃない。
すると、わたしたちの近くに座っていたクラスでも目立つほうの女子3人組のうちの1人である中井さんがこちらをギロッと睨みながら。
「あれって1年の桜庭くんだよね?
なんで2年生の教室にいるんだろうね〜」
大声でわざとこちらに向けて言っているように聞こえる。