可愛がりたい、溺愛したい。
「最近三崎くんと一緒にいないと思ったら今度は桜庭くんにつきまとってんだね〜。
見た目に反して積極的だよね〜。尊敬しちゃう〜」
さっきまで騒がしかったクラスメイトの声は、いつしか静まり返って、教室には中井さんたちの会話の声しか聞こえない。
悔しくて、腹が立って。
けど、何も言い返せず黙っていると。
「……なんか誤解してるバカな人たちいるね」
葉月くんが怒りを抑えた声でボソッと言ったかと思えば。
わたしをクラスメイトの視線から隠すように、わたしの目の前に立った。
そして。
「何か誤解してるみたいなんで今ここで言っとくんですけど。つきまとってるのは俺なんですよ」
大声でクラス全員に聞こえるように言ったのに驚いた。
な、なんでそんなことわざわざ……。
これじゃ葉月くんが周りによく思われなくなるんじゃ……。