可愛がりたい、溺愛したい。



前の席に座る明日香ちゃんが、わたしのほうに身体を向けて、依生くんがこちらを見ていないことを確認しながら。


「帆乃ちゃん、三崎くんと何かあった?
ここ何日か2人とも一緒にいないから」


小声で心配そうな顔をして聞いてくれた。


「あ……うん。
少しだけケンカ…しちゃって」



あんまり心配はかけたくないし、おおごとみたいになるのは嫌だから、"少しだけ"と嘘をついた。



「ケンカって…。
もしかして、帆乃ちゃんが男の子と仲良くしてるのにヤキモチ焼いた三崎くんが怒ったとか?」


「う、ううん……違うよ。
わたしが悪いんだ…ぜんぶ」


つい自分を責めるようになってしまった。


「それとも、もしかして葉月くんに何かされたとか?今朝も一緒だったみたいだし…。それで2人の関係が……」

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