可愛がりたい、溺愛したい。
甘いキスの誘惑には勝てない。
そして迎えた体育祭当日。
学年ごとにクラスで順位がつくからみんな盛り上がっている中、わたしはグラウンドの日陰で競技の様子を1人でボーッと眺めていた。
さっきまで明日香ちゃんと一緒だったけど、明日香ちゃんはいろんな種目に出ることになっていて大忙し。
運動が得意だから朝から張り切ってたもんなぁ。
「あー、帆乃ちゃんいた!
もうすぐ100メートル始まるよ〜!」
クラスメイトの亜季ちゃんに声をかけられて、自分が出る番が近づいていることに気づかされる。
いけない、もうそんな時間なんだ。
「あっ、ありがとう!今から行くね」
「うん、頑張ってね〜!」
頑張りどころがないけれど…なんてことは言えず憂うつな気分のまま集合場所へ。
そしてあっという間に競技が始まってしまった。
全学年で6組走る予定で、わたしが走るのは3組目。