可愛がりたい、溺愛したい。



必死に走りながら、ようやく半分の距離を超えた時。


地面を蹴る速さに足が追いつかなくなって、絡んでしまい思いっきりドサッと転んでしまった。



あぁ……最悪。
やっぱりこうなるんだ。


転んだせいでたくさんの人の視線が一気にこちらへと集まってくる。


この状況がすごく恥ずかしくて、起き上がるに起き上がれない。


かといって、いつまでも地面に転んだままでいるわけにもいかない。



……どうしよう。


焦ってきたせいで、頭の中がパニックになっていると、周りのざわめきがひときわ大きくなった。



それとほぼ同時。


地面にあったわたしの身体がふわっと浮いた。



「……へ?」


いったい何事だろうとびっくりしたけれど、それ以上に周りにいた女の子たちの悲鳴のような叫び声にさらにびっくりした。



「あーあ、転んじゃって。
ドジだね、帆乃先輩は」



フッと笑いながら、わたしを軽々と抱っこしている



……葉月くん。

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