可愛がりたい、溺愛したい。
「……葉月クンに助けてもらったから平気?」
顔色がよくないのは変わらないけれど、その上さらにムスッとした顔で見てくる。
「へ、平気……。かすり傷だから」
ここであえて葉月くんの名前は出さず、ケガの具合だけを伝えた。
すると、それに対する返事はなく、そのまま目を閉じてしまった。
寝たのかな……と思ったら。
今もまだつかまれている手に力がこめられて。
「……のど、かわいた」
少し掠れた声。
「あっ、お水ここにあるから飲める?」
さっき水分も必要だと思って、冷やすものを取りに行った時にお水のペットボトルも持ってきておいた。
「お、起きれる?」
「……むり」
起きるのが無理そうなので、寝かせたまま飲ませてあげることにした。
「口開けて。
これで飲めそう?」
飲みやすいように依生くんの口元にペットボトルの口を近づける。