可愛がりたい、溺愛したい。
叶わないってわかっていても。
「ちょっと、帆乃!!」
ある休みの日の朝。
何もする気になれず、部屋で1人ゴロゴロしていると、玄関のほうからお母さんに呼ばれた。
声の雰囲気からして、あわてているというか、驚いているように聞こえたので急いで下に向かうと。
「あ、先輩来てくれた」
「……え」
「デートに誘おうと思って来てみた」
「は……!?え、いやなんで葉月くんがウチにいるの!?しかもデートってどういうこと!?」
まさか家に来るとは思わないし、いきなりデートなんて突然すぎない!?
「先輩とデートしたいから来たのに。
そんな驚く?」
「いや驚くでしょ…!」
すると、この会話を真横で聞いていたお母さんが
「突然だっていいじゃない!せっかくこんなイケメンくんがデートに誘ってくれてるんだから!
どうせ今日ひまなんだから行ってらっしゃいよ!」