可愛がりたい、溺愛したい。
何やらニヤニヤしながら楽しそうに会話に入ってくる。
「せっかくのお誘い断るなんて失礼でしょ〜?それに、最近浮かない顔ばかりで元気なさそうにしてるから、気晴らしに出かけてらっしゃい!」
こうして半ば強引に家を追い出されてしまい……。
「先輩どこか行きたいとこある?」
「えぇ…どこでもいいよ」
とりあえず駅まで向かって、これからどこに行くかを悩んでいるところ。
「……って、誘いに来てくれたのに行き先決めてないの?」
「思いつきでデートしようって決めたから何も考えてない」
思いつきって…。
そんな軽いノリでよく誘いに来たな…と心の中で思う。
「まあ、先輩と一緒だったらどこでも楽しそうだし」
少しの時間考えると、どこか行きたい場所が思いついたのか、急にわたしの手を取って
「行きたいとこ思いついた」
どこ?って聞く前に歩き出したので、行き先を聞くタイミングを逃したまま、電車を乗り継いで数十分。