可愛がりたい、溺愛したい。
「先輩絶叫系とかいける?」
「え、いや……あんまり」
「えー、あれ乗ろーよ」
「っ!?」
指差した先にあるのは、この遊園地のボス的な風格をかもし出すジェットコースター。
見るからに速そうだし、何より落ちる角度がえげつない。
ほぼ垂直じゃん……!
ってか、来て早々いきなりこれ乗る!?
ふつうはもっとラクそうなのから乗って、慣れたころにみたいな感じゃないの?
「い、いきなりこれはキツイよ!」
「えー、いきなりだからいいんじゃん。
落ちる時のゾッとする一瞬がクセになるんだよねー」
か、変わり者だ。
わたしにはその感覚まったくわからない!
初っ端からこんなの乗ったらぜったい体力持たなさそうだし、すぐバテそう。
「葉月くん1人で乗ってきなよ」
「それじゃデートの意味ないじゃん」
「えぇ……」
「何が楽しくて男1人でジェットコースター乗らなきゃいけないわけ?周りから見たら俺いたいやつみたいじゃん」