可愛がりたい、溺愛したい。
平気な顔して、無理して笑いかけてくる。
わたしが胸を痛める資格はないけれど、そんな無理して作られた表情を見せられたらなんとも言えない。
「……あんなに冷たくされても、それでも三崎先輩がいい?」
どんなに冷たくされたって、叶わなくたって、
消えない強い想い。
何度も何度も、もどかしい思いをして、幼なじみから進展を求めても変わらずで。
依生くんじゃなくても、周りに目を向けてみれば男の子はたくさんいるのに。
どうしても胸の中にある気持ちは消えない。
葉月くんからの問いかけに首を縦にも横にも振ることができずにいると。
「何も言わないってことは、やっぱ好きなんだね三崎先輩のこと」
否定できずに言葉に詰まっていると、観覧車は一周を終えていた。
外から係りの人が扉を開けてくれて、そのまま会話もなく出口へと向かった。