可愛がりたい、溺愛したい。



「そ、そうなんだ……。
わたしのお父さんも単身赴任で家にいないの。お母さんはいるんだけど」


「兄弟とかいないの?」


「う、うん。一人っ子」


「へー、んじゃ俺と一緒だ」


クローゼットの引き出しから大きめのタオルを出して、それを渡してくれた。



「とりあえずタオルで拭いたほうがいいと思うけど。びしょ濡れだから着替えたほーがいいね。

それに風邪引いたら大変だから、シャワーでも浴びてきなよ。着替えは俺のしかないけどなんかテキトーに用意しとくから」



シャワーとか着替えとか……。

明らかに何か起こりそうなこのシチュエーションに緊張して、不安になって、なかなか行動に踏み込めない。


するとわたしの気持ちを見透かすように



「そんな警戒しないで。
なんもしないって約束するから」


ビクッと身体を震わせて見つめると。


「まあ、信用性ないのも仕方ないかあ。
けど今だけは信用してほしいなあ。そのままでいたら確実に風邪引いちゃうから」

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