可愛がりたい、溺愛したい。
困った顔をしながら、頭をかいている様子からとても嘘を言っているようには見えないけれど…。
「もし怖くなったらすぐ逃げ出してくれていいから。ぜったい何もしないってここで約束しとくけど」
「わ、わかった……」
これじゃラチがあかないと思い、葉月くんの言葉を信じることにした。
それに、ずっと濡れたままでいるよりか、早く温かいシャワーを浴びて着替えたいし。
「じゃあ案内するからこっち来て」
「う、うん」
こうしてシャワーを借りて、濡れてしまった服は乾燥機にかけてもらった。
シャワーを浴びている最中、ふとあることが頭の中をよぎった。
……しまった。
せめてスマホくらい持ってきておけばよかったと。
いくら警戒心が薄れたとはいえ、完全に信用しきっているわけじゃないから。
とはいえ、心配していたけど特に何も起こることはなく……。
「あ……えっと、シャワーと着替えありがとう」